ばらのり生産者
ばらのりは、板のりと同じ原料を使いながら、作業方法や設備が全く異なります
スーパーなどで普通にみる「焼のり」は、板に抄いたのりを乾燥させ(この状態が黒のり)、さらにこれを焼くと焼のりとなります
*のりは、「板のり」「乾のり(あまのり)」「黒のり」「焼のり」などと呼ばれており、商品の裏面一括表示的(原材料)には「乾のり(あまのり)」、枚数表示的には「板のり」、焼く前と焼いた後を「黒のり」「焼のり」といった感じです
この板のりを抄く機械は、非常に大掛かりで、たくさんの機械をつなげて、一気通貫に板に仕上げます
海面に展開した養殖網で成長させたのりを摘採→撹拌タンクで洗浄→真水水洗い→異物選別機を通して、わらくずなど異物を除去→ミンチ(のりの原藻を板に抄きやすいように細かくする)→濃度調整(板に抄く充填量調整)→抄き(全自動のり乾燥機で濃度調整されたのりを板の形に成型・水抜き・脱水・乾燥)→異物除去(板に抄いたのりの表裏についたわらくず等をはねだす)→折り曲げ・結束(1帖(板のり10枚)ずつ2つ折りにして帯紙で束ねる)
一方、ばらのり生産は、全自動のり乾燥機と違って、だいぶシンプルな工程です
海面に展開した養殖網で成長させたのりを摘採→真水水洗い→脱水→乾燥棚にのりを広げる→乾燥機で一昼夜ほどかけて乾燥→箱詰
機械化の進んだ板のり生産とシンプルなばらのり生産ですが、どちらも経験に基づいた調整のテクニックが必要で、のり質に合わせたきめ細かな作業が、おいしいのりをおいしく作るポイントになります
ばらのりと板のりは、同じ原料ではあるものの、加工方法が異なるため、決定的な違いがあります
それは、食べた時の食感です
板のりも、歯切れやくちどけがおいしさの重要な要素ですが、ばらのりは、棚干しすることで立体的な構造となるため、食べた時、非常にサクサクと小気味よく、本当に気持ちがよいです
個人的にはおいしさの要素のうち「食感」がだいぶ重要と思っているので、ばらのりをまだ食べた方がない方には、このサクサク感をぜひ味わっていただきたいと思います
写真の方は、三重県桑名郡の木曽岬(きそさき)でばらのりを生産している太田さん
板のりメインでばらのりも作られているそうです
ご夫婦でのりを作られており、秋芽の生のりを炊いた佃煮の話や、ばらのりの佃煮のよさの話を教えていただきました
たいへんおいしそうで、商品化したい!と思った次第です