「花巻そば」というお料理を聞いたことはありますか?
これは、温かいかけそばの上に、上質なのりを美しくトッピングした、
贅沢なお蕎麦の一種です。
のりは、しばしば「磯の花」とも「波の花」とも形容され、その姿勢から名前が付けられたと言われています。このお蕎麦の食べ方は、江戸時代後期の安永年間(1772年から1780年)に考案され、手軽で美味しいことから、江戸っ子に愛される定番メニューとなりました。
安永4年(1775年)に刊行された「そば手引草」には、「浅草海苔を焼いてかけしむるなり。誠に温かく、又甘味が感じられる」という記述があります。
江戸時代後期の風俗や文化を記した「守貞謾稿」にも、「花巻 浅草海苔を焼いて揉み加える」との記述があり、さらに1825年に刊行された「今様職人尽歌合」には、「夜桜を 見に来る人に 売らんとて 花まき蕎麦の 香りが立つ」という歌が含まれています。
江戸時代には、アサクサノリ(浅草海苔)が晒し干しで作られ、熱いかけそばにのせると、のりがほどよくほぐれ、そばとのりの風味が楽しめたと言われています。現在、この伝統を再現するには、高価な海苔を使用する必要があります。
アサクサノリ
日本ののりの代名詞であったアサクサノリ。
環境の変化に弱く、昭和初期に生産性の高い品種に取って代わられましたが、その味わいに魅了された人々の情熱により、2014年に「伊勢あさくさ海苔」として復活しました。自生していたものを三重県水産研究所が育て、桑名市(のりももが生まれた場所です!)の伊曽島漁協が養殖し、DNA検査を行うなど、厳格な基準の下で生産されています。
この花巻そばを提供するお店が、実はのりももの唯一の直営店があるVISON(※)にあるんです。
お店の名前は「伊勢翁」
バラのりを使用したオリジナルの花巻そばを楽しむことができます。
VISONに訪れる際は、ぜひ一度お試しください。
※伊勢翁様の花巻そば
伊勢翁
そば打ちの名人である「翁達磨」の異名を持つ、高橋邦弘氏が創業した店です。
東海地方初の暖簾分けとして、VISONに店を構えています。そばの名店で知られる「山梨翁」の伝統を受け継ぎ、フランスのパリ、サンジェルマン・デ・プレで修業を積んだ伊藤愛三郎氏が加わりました。
全国各地から取り寄せた玄そばを使用し、店内で完全に手打ちすることで、そば本来の香り、風味、色合いをバランス良く引き立たせたそばを提供しています
※VISON公式サイト https://vison.jp